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2025年8月22日
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野田 達夫 准教授の研究グループが二次電池の電極内で分子イオンPF6-は単原子イオンLi+よりも高速に移動する 「分子イオン電池」の急速充放電特性のポテンシャルの高さを実証
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)電池技術研究部門 八尾 勝研究グループ長らは、大阪公立大学工業高等専門学校と愛媛大学と共同で、二次電池の電極内において、分子性イオンであるヘキサフルオロリン酸イオン(PF6-)が単原子イオンであるリチウムイオン(Li+)よりも速く移動することを実験的に明らかにしました。
充放電により繰り返し利用できる二次電池として現在広く使われているリチウムイオン電池では、Li+を電荷担体として用います。しかし、イオン半径の小さい単原子イオンであるLi+は電解液中で溶媒分子と強く相互作用するために移動速度が低くなることが知られています。一方、分子性のイオンは溶媒との相互作用が弱く、電解液中はもとより固体状の電極内においてもLi+に比べて動きやすいと予想できます。しかし、分子イオンであるPF6-は陰イオンであるため、その動きやすさを陽イオンであるLi+と直接比較することはできず、その検証は困難でした。
今回、陽イオンと陰イオンのどちらの授受も可能という特徴を持つ高分子材料を電極として用いることで、Li+とPF6-の動きを評価しました。その結果、固体状の電極内においても、分子性のイオンであるPF6-の方が単原子イオンであるLi+よりも速く動くことが確かめられました。この結果から、産総研が考案した分子性のイオンを電荷担体として用いる「分子イオン電池」は、リチウムイオン電池などに比べて急速充放電特性に高いポテンシャルを持つことが期待されます。
この研究成果の詳細は、2025年7月25日に「ChemSusChem」に掲載されました。
詳細は大阪公立大学サイトをご参照ください。
二次電池の電極内で分子イオンPF6-は単原子イオンLi+よりも高速に移動する 「分子イオン電池」の急速充放電特性のポテンシャルの高さを実証|大阪公立大学