研究室のイベント
2023年7月18日
- 2023年度
2023年度第09回電制研ゼミ開催!
7/18の卒研の時間に,今年度の第09回電制研ゼミを行いました!
今年度のゼミのテーマは「電力工学」になります。電力工学は電験三種でも出題される重要な分野であり,新カリキュラムであるエレクトロニクスコースにおいても「電力技術」として科目を用意しております。
第09回目は竹中君!今年度は森北出版の「電気エネルギー工学 新装版 発電から送配電まで」を元に資料を作成してくれました。非常に広範囲に渡る範囲を1冊に体系的にまとめた良書です。
第09回目の発表は「送電における影響」についてでした。
送電線路は100km以上になることもあるほど非常に長く,その場合は集中定数回路ではなく分布定数回路で考える必要があります。また,短距離送電線路であっても配線抵抗や配線インダクタンスの影響は非常に大きく,線路間での電圧降下が問題となります。そのため,調相設備などによってこの電圧降下を抑制する必要があります。
この調相を効果的に行うために重要な手法として電力円線図というものがあります。電力円線図は,「横軸に有効電力、縦軸に無効電力として、送電端電圧と受電端電圧を一定としたときの送電端電力や受電端電力を円曲線で表したもの」となっております。
電力円線図のメリットとしては主に以下のとおりです。
- 送電線の最大受電電力が分かる
- 負荷が指定されれば必要とされる調相容量が分かる
- 負荷が指定されれば、送電端電圧と受電端電圧の間の位相の開きが分かる
- 受電端の運転力率が分かる
- 送電端での有効電力、無効電力、力率が分かる
- 送電損失、送電効率を簡単な起算で求めることができる
送電側と受電側でそれぞれの電力を円の方程式に当てはめることができ,負荷が指定されれば,必要とされる調相容量もわかるようになります。負荷によって誘導性が多ければ容量性である進相コンデンサを,容量性が多ければ分路リアクトルを追加して力率を改善する必要があります。力率が改善されれば,前述の配線インダクタンスによる電圧降下は進相コンデンサでキャンセルすることができるため,配線抵抗による電圧降下のみとなります。そのため,電圧降下の影響を抑制する設備の導入に重要な考え方と言えますね。
この電力円線図の概念を理解できれば電験3種以上も夢じゃない?実際に2種や1種で出題されるので理解できると良いですね!
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